先日、Dive Photo Guideの5月のフォトコンの1位~3位作品が発表されました。
当サイトでも、紹介しています。
この1位の作品は、スペイン人のダビド・バリオ(David Barrio)さんが撮られたものですが、この写真には驚くべきテクニックが詰まっています。
Dive Photo Guideの記事内でバリオさんがその撮影テクニックを話されていたので、ここにご紹介させていただきます。
最初に、この写真の上の部分が何なのか、分からない方も多いかと思います。
これはゴルゴニアンというソフトコーラルに産み付けられたトラザメの卵です。その卵にストロボを当てて、中のトラザメの幼魚(幼生)が透けて見えているんです。その幼魚の横にあるシルエットは卵黄嚢(らんおうのう)と言って、卵の中で幼魚に栄養を与えるものです。
この写真は広角のレンズで接近して撮影されていますが、この卵の実際のサイズはとても小さく、4~5cm程度でしょう。
それでは、この写真が撮影された時の状況とカメラ設定を記しておきます。
撮影地:スペイン、ジローナ県ロザス
水深:約30m
カメラ:Nikon D300
ハウジング:Hugyfot
レンズ:Tokina 10-17mm
ストロボ:Subtronic Nova×2灯
補助光:自家製スヌート(Snoot)
ISO感度:200
シャッタースピード:1/250秒
絞り:f22
この写真、すごいところを大きく4つに分けてみました。
1.水面の太陽の光を採り入れる絶妙な設定
2.ストロボと補助光の考え抜かれた使い方
3.全て着底せずに中性浮力を取りながら
4.最後に、ダイバーの位置・状態を見極めて
それでは、順を追って説明させていただきます。これはすごいですよ!
水深は約30m(100フィート)とのことですが、水面の太陽に向かっての青のグラデーションがすごく綺麗ですよね。
f22とかなり絞っていますが、それでも青が残る海なんですね。
ISOとシャッタースピードとの絶妙なバランスでしょう。
もちろんその点は留意してこの設定を選んだ、とバリオさんは語っています。
特筆すべきは、2灯のストロボの使い方!左側のストロボをフル発光で、右側のストロボを1/16という微かな光量にしています。
左側のストロボは被写体のダイバー(ちなみに彼女はバリオさんの恋人・ルイーザさん)を照らすために強く発光し、右側はゴルゴニアン周辺のみを照らす程度、という使い分けがなされています。
また、補助光のスヌートというのは、また追って詳細な記事を書きますが、“ピンポイントで光を当てられるライト”と思ってください。このスヌートで、トラザメの卵をピンポイントで照らしています。つまり、右側ストロボの微かな発光と補助光のスヌートによって、ゴチャゴチャした絵にせず、余計な部分は黒く落とすことに成功しているんですね。
この光を扱うテクニック、ストロボやスヌートの光を当てるアームの動かし方、半端ないです!
その設定を全て終えてから、ゴルゴニアンと卵にぶつからないようにギリギリまで接近した、と語っています。
しかも、これは着底しながらではなく、全て中性浮力を保って行われています。というのも、ここの海底は泥に覆われていて、着底するとそれが巻き上がってしまうからです。そのため、45°ファインダーが役に立ったとバリオさんは語っています。
設定と自分のポジショニングを確定してから、被写体となるダイバーがポーズを取るのを待った、と語っています。もちろんここでも、ダイバーの泡がフレームの枠外にまで上っていくタイミングを待って、シャッターを切っています。
さらに、水深と時間の関係もあり、撮影したのはわずか3,4枚!そのうちの1枚が、このショットというわけです。
と、なかなかこれだけの驚くようなテクニックが凝縮された写真はありません!
それを語るだけでもこれだけ長い記事となってしまいました(笑)
改めて、素晴らしい写真と撮影技術をありがとうございます!と感謝したいと思います。
本当にすごい!!
◇この写真が1位を獲ったフォトコンテスト
DivePhotoGuide5月のフォトコンBest3発表!
◇ダビド・バリオさんの個人サイトはこちら。
Underwater Photography – David Barrio – Fotografía Submarina
- [ 2010/07/06 ]
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