
水中写真家の古見きゅうさんが、5月20日に初めてのオリジナル水中写真集「WA!」を出版されました。
スキューバダイビング.jpでは、その古見さんに独占インタビュー。
この写真集にかける思い、水中写真そのものにかける思い、そしてこれからの展望…。
ウェブ上では初めてとなる本格的なインタビューで、大いに語っていただきました。
今回から3回に分けて、じっくりとお届けしたいと思います。
どうぞお楽しみください!
(取材日:2010年5月17日 聞き手:いぬたく 撮影:編集部)
第1回 水中写真集「WA!」ができるまで
第2回 写真、そしてプリントへのこだわり
第3回 最後にもう一度、写真集「WA!」のはなし
- いぬたく
- よろしくお願いします。
- 古見
- よろしくお願いします。
- いぬたく
- 今日は水中写真集のことをメインにお話したいと思います。
- 古見
- はい。

- いぬたく
- 構想というか、「こういう写真集出したいな」と思ったのはいつ頃からですか?
- 古見
- 昔和歌山県の串本でダイビングガイドをしていた頃から思っていたことなんですけど、例えばクマノミだとかハタタテダイだとか同じ魚がつがいを作るのって簡単に説明ができるじゃないですか。「それはカップルなんだよ」とか、「親子なんだよ」とか。
- いぬたく
- はい。
- 古見
- でも種類の違う魚たちが、すごい狭い範囲の中で、お互い何をしてるか分からないんだけど微妙な距離を保ちながら生活をしているのを観て、「あ、こういうの面白いよな」って思って。そういうシーンを探して撮っていたんです。それが水中写真家になって、ある程度溜まってきた、と。
「これを一冊の本になんとかまとめられないかな」と思ったのが、一昨年(2008年)ぐらい。それぐらいから漠然と本を出したいなと思って。それで実際に企画を立てて、売り込みをした、と。

- いぬたく
- 企画書を書くっていう部分が古見さんはすごいなと僕は思ってるんです。いつも出版社の方を相手に、どういうことを書いてるんですか?
- 古見
- まず大切なのは「どういう本にしたいか」ということと、あと「どういう見せ方をしたいか」っていう構成をしていって、
- いぬたく
- はい。
- 古見
- あとはフリーでダウンロードできるフォトアルバムみたいなのを使って自分の写真と言葉を組みこんでいって「こういう形、こういう風に」っていうようにすごくシンプルに2,3枚の企画書にして。それと実際の写真を見せて、という感じですね。
- いぬたく
- じゃあ(出版社の)水中写真を知らない人でも、仕上がりのイメージが分かりやすい、ということなんですね。
- 古見
- そうそう。海の中を知らない人たちにも僕の好きな世界というか、こんなに美しい世界があって、こんなにかわいい生き物たちがいて、こんな面白い動きをしているんだよ、と。こうやって彼らも海の中で僕らと同じようにコミュニケーションをとりながら生活をしてるんだよ、とストレートに見てもらえるように、企画書を作りましたね。

- いぬたく
- 合計何社ぐらい回ったんですか?
- 古見
- うんと、それはね、一社。なんだか運よく一発目で(笑)
- いぬたく
- それは小学館さんなわけですが、やっぱりできるなら小学館さんで、ということで?
- 古見
- もちろんそれはあって、やっぱり僕としてはどこでもいいから出したいというわけじゃなくて、僕にとっても写真集としては最初の一冊目になるわけだし、自分が出したいところに最初に持って行こうと思っていて。僕が一番多く写真集を買っていたのが小学館さんだったんです。それで奥付のところとか見て、ぜんぜんコネクションはなかったんだけど電話して、「なんとかなりませんか?」と(笑)
- いぬたく
- いま出版不況と言われていて、写真集を出すということはすごく難しいですよね。
- 古見
- 出版社でも写真集は売れない部類の本になっていて、最初は「難しいですよ」なんて言われてたんだけれど、そんなことを言ってても何もならないので、いいものができると信じてそうやってアポをとってお話をして…。
- 結局は、待ってても今の時代きっと仕事が来ないと思うので、自分からそうやっていくことが大切なんじゃないかと思って。そうしたら最初から「じゃあやってみましょう」となったんで、それはラッキーだったんじゃないかな、と。
- 最初に(出版社の方が)面白がってくれたのは、僕は海の中のコミュニケーションを撮っている点で。今、コミュニケーションをとることが苦手な人たちって多いじゃないですか。そういう人たちでもくすっと笑ってもらえるようなものを作りたいと思って、そういう写真を撮っているつもりだったので。
- いぬたく
- この表紙みたいにウミガメとコバンザメがいたり、という写真ですね。こういうシーンって、古見さんとしてはどういう気持ちで受け止めてたんですか?
- 古見
- 最初はただ単純にかわいいなーと。(いぬたくくんは)僕のセミナーにも参加してもらったことがあるから分かると思うんだけど、お魚をただ「お魚だよ」って撮るのってあんまり面白くないなと思っていて。その延長で、どういう目線で見たら魚たちがかわいく見えるかと思ってたら、一匹だけじゃ物足りなくなって「じゃあもう一匹入れてみるか、もう一匹入れてみるか」みたいな感じでなってきた、という感じ。みんなで楽しくやろうよ的な感じかな(笑)
- いぬたく
- その「かわいいな」というのは今も変わってないんですよね。
- 古見
- それは全然変わってない。これから先どういう写真を撮るにしてもこの「WA!」というテーマはずっと続いていくと思うし、この先もずっと撮っていくと思いますよ。
- その「WA!」というテーマの中でももっと細分化させていっていろんな組み合わせができるようにとか、そういうのはもちろん考えていきたいなと思ってます。

- いぬたく
- 「WA!」というタイトルに込めた意味を教えてもらえますか?
- 古見
- WAっていろんな意味も、いろんな漢字もあるじゃないですか。そういう風に自由に考えてもらえれたらなと。例えば平和の「和」であったりとか、「輪」であったりとか、環境の「環」であったりとか。いろんな捉え方があると思う。やっぱり見た人によって写真の捉え方って違うと思うんですよ。見た人によって自由にWAを考えてくれたらいいのかなと。たとえばWAだったらわたし(Watashi)とあなた(Anata)でもいいんですよね。そういう感じで。僕から押し付けてしまうことは簡単なんだけど、そうやって自由に考えてもらうのがいいと思う。
- 実はフキダシが各写真についていて。僕が(セリフを)書き込んでる写真もあるんだけど、書いてない写真もいっぱいあって。だからみなさんが自由に書き込んでもらっていいし。子どもと大人が一緒に見られるものにしたかったんです。
- いぬたく
- フキダシっていうアイディア、面白いですね。
- 古見
- 海の中を知ってる人やダイビングをちょっとでも経験したことある人だと「こういうお魚たちがいて繁殖のために一緒にいるんだよ」とか「こういう寄生虫がいて体にくっついて体液を吸ってるんだよ」とか分かるんだけど、たぶん多くの世の中の人は知らないわけじゃないですか。だから、見てもらいたいと思う方向性というか、海を知らない人にとっても楽しんでもらえるものにしたかった、という感じかな。ぜんぜん説明になってない気がするけど。
- いぬたく
- いえいえ、その気持ちはすごくよく分かります。前からとても思っていたんですけれど、古見さんの写真だけでなく人柄・考え方って、すごく外向きなんですよね。
今のお話もそうだと思うんですけど、そのへんってもともとの性格なのか、ダイビングをやって感じたことなのか、少年時代の原体験でもいいんですけれど(笑)、そういう気持ちってどこから来るんですか? - 古見
- いろんな考えがあると思うんだけど、分かりやすいところで言うと僕とたくちゃんが「こんな写真って面白いでしょ」ってこう見せ合ってて「あー面白いですねー」とか言ってくれたとしても、例えばうちの両親、海の中を知らないじゃないですか。「全然面白くない」と言われることが多くて。それじゃちょっと寂しいじゃないですか。
- 僕としてはいちダイバーではあるんだけれども、やっぱり後々は写真作家として生きていきたい人間なので、必然的に訴えたいところというのはより多くの人にはなっていくのだとは思うかな。
第1回 水中写真集「WA!」ができるまで
第2回 写真、そしてプリントへのこだわり
第3回 最後にもう一度、写真集「WA!」のはなし
初の水中写真集「WA!」はこちら!串本時代に撮りためた魚図鑑もぜひどうぞ!















